冬のソナタ 幻の21話 |
20回から続き 「ユジンかい?」・・「チュンサンなの?」・・ |
1. チュンサンの建てた家 テラス(午後) |
夕焼けを背景に二人が向かい合っている。 |
チュンサン | (ユジンを見つめて)ごめん・・・こんな姿で・・・ |
ユジン | ううん(チュンサンの手の平を自分の頬に当てて、首を横に振る)
チュンサン、私、二度とあなたに会えないんじゃないかと思って、どれだけつらかったか分からないわ・・・私・・・毎日お祈りしたのよ。チュンサンにまた会えますようにって・・・
だから(目に浮かんでいた涙が流れて)あなたが私の目の前にいるという事実だけでも幸せ・・・ |
チュンサン | (指でユジンの涙を拭って)泣いているの? |
ユジン | (チュンサンの手を取って明るい声で)私、もう泣かない・・・
あなたと私は、もう離れないんだから・・・もう泣かないわ。
チュンサンとユジン、抱き合う。 |
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2. ポラリス事務所(午後) |
キム次長が花束をかかえて事務室に入って来る。ジョンアが机の整理をしながら帰宅の準備をしている。 |
キム次長 | あ、ジョンアさん。まだ終わってなかったんですか?僕はてっきり準備が終わってるもんだと思ってたんだけどなあ
あ! それに・・・フランスから帰ってきたユジンさんにも会おうと思ってたんだけど・・・ |
ジョンア | (キム次長を見て)私よりもユジンに関心があるのね。ユジンは忙しいの。その花、私にくれるんじゃないの? |
キム次長 | (しまった、という様子で花を差し出す) もちろん僕の愛するジョンアさんの為に持ってきたんですよ。(照れ隠しに笑って) |
ジョンア | ユジンはここに行ったのよ。(雑誌のチュンサンが建てた家を見せて)この家、どう? 素敵でしょ?
これ、ユジンが設計した家なんだけど、こうして現実に現れたもんだから、一度見に行くって、午前中にここに行ったのよ。信じられないわ。(首を横に振りながら)不思議でしょ? |
チュンサンが建てた家とオーバーラップ
チュンサン: (声)先輩、この家はね、僕一人で設計したんじゃないんですよ。 愛する人と一緒に設計した家なんです。 でも、もうその人とは会えないから、 この家の事はその人に知られたくないんです。
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キム次長 | (ドキッとして)そうですね。
(話題を変えようと)あ 僕、お腹が空いてるんだけどなぁ
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ジョンア | (キム次長を横目でにらんで)分かったわよ。行きましょう。
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3. チュンサンの建てた家(夜) |
海から家を映し、家の正面で停止 |
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4. チュンサンの建てた家の中(夜) |
ソファーに並んで座っている二人。チュンサンの手をしっかりと握って、ユジンはチュンサンの肩にもたれかかっている。 |
ユジン | 私、あなたの事、一度も忘れたことなかった。
チュンサンと初めて会った時の事から、何度も思い出して、
また思い出して・・・あなたの視線、声、あなたが弾いてくれた
ピアノの音・・・
(笑顔を浮かべても視力を失ったチュンサンの事を考えると胸が痛む) |
チュンサン | ・・・そう! |
ユジン | (再び笑顔で)・・・愛してる・・・ |
チュンサン | 僕の方が、もっと愛してるよ。 |
ユジン | (まだ信じられないという風に、チュンサンを見つめるが) |
チュンサン | (表情が暗い) |
ユジン | (驚いて)チュンサン・・・どうしたの・・・? 何かあるの? |
チュンサン | (ユジンの髪をなでる)・・・いや・・・別に・・・
ユジンに会えたことが嬉しくて・・・
僕がただ一人の人を愛せるという事が、
そして愛する人にまた会えたことがありがたくて・・・ |
ユジン | (心配そうな表情で)チュンサン・・・ |
チュンサン | (ユジンの方を見て)そして・・・ユジン・・・ |
ユジン | うん・・・ |
チュンサン | アメリカにいる間、ユジン、お父さん、そしてサンヒョクが
僕にとってどれだけ大切な存在なのか実感したんだ。
僕が昔、チュンチョンに転校したのはお父さんの事を
知りたかったからだった・・・
今はお父さんが誰なのか分かったけれど、サンヒョクと
お父さんを傷つけてしまったから・・・
僕という存在のせいで、お父さんとサンヒョクが受けた傷を
解消できたらと思う・・・サンヒョクにも会いたいし
(涙が浮かぶ) |
ユジン | (明るい声で)サンヒョクのお父さんとサンヒョクも、
あなたと同じ様に思ってるはずよ・・・
あなたもつらい思いをしたじゃない・・・う
まくいくはずよ、きっと・・・ |
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5. チュンサンが建てた家の中(朝) |
ユジンが朝食の準備をしている。チュンサンが食卓の向かい側に座っている。 |
ユジン | (チゲを食卓に置いて)憶えてる?
スキー場で仕事してた時、チュンサンの別荘に行って、
朝ご飯をこうして食べたじゃない・・・
(微笑んで)チュンサンとこうして向かい合ってご飯食べら
れるなんて・・・うれしい。
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チュンサン | ユジンが作った料理、本当においしかったよ・・・
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ユジン | (笑顔で)ふん・・・これからは、毎日食べられるじゃない。
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チュンサン | (表情)そうか・・・
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チュンサン | (声)ユジンの笑顔も毎日見れたらどんなに嬉しいだろう
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ユジン | (チュンサンを辛そうに見つめ)・・・
(明るい声で)チュンサン、この家、本当に素敵ね・・・
ご飯食べてから、あちこち見物しなくちゃ。
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6. 高速バスの中(午後) |
ユジンとチュンサンがバスの後部座席に並んで座っている様子。 |
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7. ポラリスの事務室(朝) |
誰もまだ出勤していないガランとした事務室。ユジンが机に座って
仕事をしている。ジョンアが事務室に入ってきてユジンを見る。
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ジョンア | ちょっと、ユジン。あんた、どうしたのよ。
私が昨日、あんたの事どれだけ待ってたと思ってるの?
連絡も取れなかったし・・・ |
ユジン | ごめん、ちょっと事情があって・・・ |
ジョンア | とにかく、あんたは忙しいんだから。 |
ユジン | (笑顔)
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ジョンア | (首をかしげて)そうだ、あの家はどうなったの? |
ユジン | (笑って)行ってみたら、本当に私が設計した家だったの。
だから、その家の持ち主に会ってきたのよ。
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ジョンア | (おかしいな、という風に前に近寄って)それにしては、
ちょっと変じゃない。さっきから気分が良さそうに見えるけど。
まさか、その家の持ち主があまりにハンサムだから、
大目に見てあげたんじゃないでしょうね? |
ユジン | (大きく笑って)そんなんじゃないわよ。
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ジョンア | それじゃ、何なのよ?
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ユジン | チュンサン。
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ジョンア | (びっくり驚いて)えぇ! 理事が・・・
(少し考えて)それじゃ、理事があの家を? 理事は今、
アメリカにいるんじゃなかったの? |
ユジン | 戻ってきたの。
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ジョンア | そういう事だったのね。良かったじゃない。 |
ユジン | (笑顔でうなずく) |
ジョンア | 理事が建てたとは、想像もつかなかったわ。
(独り言のように)じゃあ、あの人、知ってたくせに
私に何も話さなかったって事? |
ユジン | 誰のこと? |
ジョンア | (ユジンを見て)あ! 私、話してなかったっけ?
マルシアンの金次長・・・今は理事だけど・・・
あんた達がいなくなってから、ああでもない、
こうでもないってやってるうちに・・・まぁ・・・ね。
見た目はあんなでも、しっかりしてるし・・・付き会ってるのよ。 |
ユジン | ジョンアさん、よかったじゃないですか。 |
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8. 放送局の中(午後) |
サンヒョクが音楽CDを見ていると、携帯電話が鳴る。 |
サンヒョク | もしもし・・・
(嬉しそうに)ああ、ユジン・・・いや・・・・
そう・・・6時に・・・うん、じゃあ後で。 |
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9. コーヒーショップの中 |
サンヒョクとユジンが向かい合って座っている。注文したコーヒーをウエイトレスが置いていく。 |
ユジン | (コーヒーカップを手に取り、見つめながら)サンヒョク・・・ |
サンヒョク | (ユジンとほとんど同時に)俺達・・・ |
ユジンとサンヒョク、見つめ合って |
ユジン | (笑顔)先に話して。 |
サンヒョク | うん。俺達・・・これからも友達でいられたらと思って。
結婚はできなかったけど、ユジンの事を失いたくはないから。
友達として、残っていてもいいかな? |
ユジン | (うなずく。サンヒョクの目を見つめて)ありがとう、サンヒョク。
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サンヒョク | (笑顔で)ところで、君の話は?
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ユジン | ・・・チュンサンが・・・帰ってきたの・・・私・・・チュンサンに会って・・・
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サンヒョク | (緊張して)何だって!?(ワンテンポ休んで)そう・・・チュンサンは、良くなったのか?
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ユジン | (目に涙を浮かべて、首を横に振る)
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サンヒョク | (残念そうな表情)
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ユジン | チュンサン、治療を受けたんだけど・・・ダメだったんだって・・・(涙が流れる)目がほとんど見えないの。
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サンヒョク | (驚く)元気でいてほしいと思ってたんだけどな・・・
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ユジン | 私がサンヒョクに連絡したのはね・・・サンヒョク・・・チュンサンがサンヒョクに会いたいって言ってるの。
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サンヒョク | (表情) |
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10. ジンスクの家(夜) |
ヨングクは横になって、子どもを抱いて寝かしつけている。ジンスクは横で洗濯物をたたみながら、あれこれと話をする。 |
ジンスク | (ヨングクを見て)でもさあ、ユジンはもう、気持ちの整理ができたみたいよね?
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ヨングク | (子どもを寝かしつけながら)そのようだな。
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ジンスク | でもさ、サンヒョクもかわいそうよね。チュンサンが現れたりしなかったら、今頃はユジンと結婚して、幸せに暮してたんだろうな・・・
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ヨングク | (ガバッと起きて座り)ジンスク、チュンサンも友達だろ。
チュンサンが生きていてくれたという事実だけでも、どれだけ嬉しいことかわからないじゃないか。
間違っても、他のヤツらのいる前で、そんな話するなよ。サンヒョクとユジンは、縁がなかったんだと思わなくちゃ。
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ジンスク | (小さな声で)私は、ただ・・・ |
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11. チュンサンのホテルの部屋(夜) |
暗い部屋の中で、チュンサンはアメリカのミヒと電話している。 |
チュンサン | 母さん、チュンサンです・・・用事は全部、終わりました。 |
ミヒ(声) | そう。何時の飛行機だったかしら? |
チュンサン | ・・・僕・・・帰りません。 |
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12. ユジンの部屋 / チュンサンのホテルの部屋(朝) |
ユジン、姿見の鏡で服装を見ながらチュンサンと電話中 |
ユジン | 今からそっちに向かうわ。準備できた? |
チュンサン | (困った様子)ユジン、どうしても今日行かなきゃならないのかい?
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ユジン | 私、ものすごーく待ちくたびれて、もうこれ以上は待てないの。どうしても、今日じゃなきゃダメなの。
まさか、嫌なんじゃないでしょうね?
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チュンサン | 嫌なんじゃなくて、お母さんが驚くんじゃないかと思って・・・
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ユジン | ・・・母さんも喜んでくれるはずよ。
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13. 高速バスの中 |
チュンサンとユジンが並んで座っている窓の外に見える緑いっぱいの風景。日差しが窓を通して二人を照らしている。ユジンはチュンサンにあれこれと話し掛け、チュンサンはそれを楽しそうに聞いている。 |
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14. チュンチョンのユジンの家(午後) |
ユジンの母は座っており、チュンサンとユジンは大きく挨拶をして座る。 |
ユジンの母 | (ユジンに)良く来たわね。
(チュンサンに向かって)遠くまで、疲れたでしょう?
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チュンサン | いいえ、そんなことはありません、お母さん。(わずかに微笑んで)
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ユジン | (わざと明るく)私たち、全然疲れてないのよ。道も混んでなかったし。
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ユジンの母 | そう・・・(理解するように、うなずいて)
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ユジン | 母さん、ヒジンは?
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ユジンの母 | キャンプに行って、明日遅くに帰って来るんだって。
(チュンサンを見つめて)ユジンから、今までの話、聞きました。
また会えたって聞いて、天によって結ばれた縁があるって言うけど、
まさにあなた達のような事を言うんじゃないかって思いましたよ。あの時、結婚を反対したことも、気にかかってたし・・・
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チュンサン | あの時は、僕の母のせいで反対されたんですから、気になさらないでください。僕はもう、忘れました。
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ユジンの母 | (チュンサンに)ユジンから、一緒に挨拶に来るって電話で聞いてから、色々と考えたんですよ。
ユジンと結婚したいんですって・・・?
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チュンサン | お母さんのお気持ちはよく分かります。今の僕は・・・ユジンさんの荷物になるのかも知れません・・・
でも、韓国でまた会うとは思ってもみませんでした。忘れようと努力もしてみましたが、無駄でした。
ユジンさんを愛しています・・・
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ユジン | 母さん、チュンサンには私が必要なの・・・もう・・・私たち、離れられないのよ。
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ユジンの母 | ・・・
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ユジン | 母さん・・・
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ユジンの母 | 結婚・・・しなさい。うちのユジン、幸せにしてやってくださいね。(こらえていた涙があふれる)
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ユジン | 母さん・・・ありがとう。
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チュンサン | お母さん、ありがとうございます。
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ユジンの母 | (涙をこらえて)あら、私ったら。お茶も出さずにいたわね・・・
(ユジンの母、台所へ行こうと立ち上がるが、ユジンが立ち上がる)
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ユジン | (母の腕をつかんで)私がするから。
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ユジンの母 | (ユジンの手をほどいて)いいのよ、疲れてるでしょう。休んでなさい。
(ユジン、再び座ってチュンサンを見つめる。チュンサンの目には涙がたまっている。) |
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15. サンヒョクの家(夕方) |
食卓に座り、ジヌ、ジヨン(サンヒョクの母)、サンヒョクが食事をしている。 |
ジヌ | (ジヨンの方を見て)そうだ、明日久しぶりに外食でもしようか?
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ジヨン | 私は構いませんから、あなたの好きなようになさってください。(見向きもしないでご飯を食べる)
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ジヌ | (固い表情) |
サンヒョク | そうしたら、母さん。父さんとデートするのも久しぶりなんだし。
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ジヨン | (サンヒョクを見て)そう、分かったわ。 |
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16. チュンチョンの家(朝) |
ソウルに行く準備をしているチュンサンとユジン。 |
ユジンの母 | お昼ご飯食べて、午後にゆっくりと行ってもいいじゃない。
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ユジン | 今日中に戻らないとダメなの。やりかけの仕事もあるし。母さんに早くチュンサンと会ってほしくて、急いで来たんだもの。
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ユジンの母 | (うなずいて)そうなの。
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チュンサン | 今度、ソウルに来られることがありましたら、是非連絡してください。
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ユジンの母 | (チュンサンの手を取って)気をつけてね。
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17. 放送局の中 |
サンヒョク、深く考えふけっている様子・・・受話器を手に取るが、急に出て行く。 |
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18. ホテルの廊下(夜) |
サンヒョク、チュンサンの部屋の前に立って、ベルを押す前に深呼吸。チュンサンの部屋のベルを押す。 |
チュンサン | (ドアの向こうから)はい・・・どなたですか?
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サンヒョク | (チュンサンの声を聞いて驚き、何も言えない)
(ドアがゆっくりと開いて、チュンサンの顔が見えるが・・・何も見えない様子のチュンサンの顔を見て、 サンヒョクは胸を傷める) |
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19. チュンサンのホテルの部屋(夜) |
チュンサンとサンヒョク、ソファーに座って話す。 |
サンヒョク | 戻って来たんだな・・・チュンサン・・・
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チュンサン | (にこやかに微笑んで)ああ。久しぶりだな。
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サンヒョク | (チュンサンを見つめて)ユジンから話は聞いたよ。目は・・・全然見えないのか?
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チュンサン | 明るい所なら、輪郭程度はぼんやりと見えるけど・・・ 今・・・君の顔は・・・
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サンヒョク | (うなずいて)そうか・・・
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チュンサン | ・・・お父さんも変わりないよね・・・?
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サンヒョク | ああ、もちろん・・・ 今まで、どうやって過ごしてたんだよ・・・(低い声で)・・・兄さん!
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チュンサン | (ジーンと感激して)・・・サンヒョク・・・
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サンヒョク | もしも・・・俺達が兄弟だってことを知らないでいたら、いや、もっと幼い頃から一緒に育ってきたんだったら、どうだったろう?
もし、そうだったら、きっと仲のいい兄弟になったんだろうな。お互いを傷つけるような事のない・・・
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チュンサン | ・・・いつも・・・心の片隅に、君を傷つけてしまって・・・申し訳ないという思いがあったんだ・・・
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サンヒョク | そんな風に思わなくていいのに・・・(涙がにじんで)兄さんが悪かった訳じゃなかったんだから。
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チュンサン | (涙がにじんで)ごめん、そして、ありがとう。
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サンヒョク | 父さんも、兄さんに会ったら喜ぶよ・・・きっと・・・
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チュンサン | (ためらいながらも、うなずく)
(サンヒョク、チュンサンを抱く) |
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20. サンヒョクの家、居間(朝) |
サンヒョク、2階からゆっくりと下りて来る。ジヌはソファーで新聞を読んでいて、サンヒョクの方を見る。 |
ジヌ | 今起きたのかい?
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サンヒョク | (ジヌの前に来て)おはよう、父さん。
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ジヌ | (笑って)昨日は何時に帰ってきたんだ? お前がいつ帰って来たのか、気がつかなかったよ。
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サンヒョク | ・・・友達に会って、ちょっと遅くなって。
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ジヌ | そうか。
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サンヒョク | 母さんは、出かけたの
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ジヌ | ん? 部屋にいるが、どうしたんだい?
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サンヒョク | (話そうか、迷っている表情)
(サンヒョク、ジヌにチュンサンの事を話そうとする瞬間、ジヨンが部屋から出てくる) |
ジヨン | サンヒョク、起きたのね。
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サンヒョク | 母さん・・・(いたずらっぽく)そうだ、昨日のデートはどうだったの?
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ジヨン | デートなんて・・・ただ、ご飯食べて帰ってきただけよ。サンヒョクも呼ぼうと思って電話したのに、つながらなくて。
友達と会うのに電話も切っておくなんて。何かあるんじゃないでしょうね?
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サンヒョク | 何もないよ。(笑って)
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21. 大学の前(午後) |
帰宅中のジヌ。歩いているところで、電話が鳴る。 |
ジヌ | ・・・もしもし、サンヒョクか?・・・
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サンヒョク | (声)ええ、まだ家に帰る途中でしょう? 父さんに話があって・・・
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ジヌ | ・・・そうか。
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電話を切った後、ジヌの表情。 |
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22. マルシアンの外観(午前) |
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23. 事務室(午前) |
キム次長が仕事している所へ寄ったチュンサン。 |
チュンサン | (1ヶ所を凝視して)ここも、ずい分変わったんで
しょうね?
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キム次長 | まさか。インテリアは一つも変えてないですぞ。あなたが
仕事してた頃、そのまんま。
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チュンサン | (笑顔)先輩、そんな必要ないのに。
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キム次長 | 私は、いつでもあなたを待ってますよ。分かりましたか?
イ・ミニョン理事。
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チュンサン | (笑顔、いたずらっぽく)でも、どうしよう?
僕、イ・ミニョンじゃなくて、カン・チュンサンなんだけど・・・
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キム次長 | 何ですと!
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チュンサン | 冗談ですよ。実はね、先輩に話があって来たんですよ・・・
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キム次長 | ・・・
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チュンサン | (笑顔)先輩、いじけちゃいました?
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キム次長 | いじけてないよ。
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チュンサン | ・・・僕・・・結婚することになったんです、ユジンと。
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キム次長 | え! 本当に? おめでとう、ミニョン・・・いや、チュンサンか。
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チュンサン | ありがとう、先輩。結婚式には、必ずジョンアさんと
一緒に来てくださいね。 |
キム次長 | (知らないフリして)ジョンアさん? |
チュンサン | どうして今まで、僕に教えてくれなかったんですか?
ユジンから聞きましたよ。先輩も、おめでとうございます。 |
キム次長 | (照れている表情) |
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24. ホテルの前(午後) |
キム次長の車がホテルの前で止まる。チュンサンはキム次長の車に乗っていて、降りる準備をしている。 |
キム次長 | 着きましたよ、ミニョンさん。
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チュンサン | ありがとう。今度、ユジンと一緒に会って、
一緒に食事でもしましょうよ。 |
キム次長 | 私はいつでも大歓迎。ちょっと待ってよ。降りる
の手伝いますから。 |
キム次長が先に車から降りて助手席の扉を開こうとすると、ホテルの正門の方に見覚えのある顔が見える。その人はまだキム次長の方に気付いていない。正門の方にいるのはジヌだ。 |
キム次長 | (助手席の扉を開いて)おい、ミニョンさん。あそこに、
知り合いらしき人がいますよ
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25. ホテルの喫茶店 |
ジヌとチュンサンがコーヒーを注文して、向かい合って座っている。 |
ジヌ | (チュンサンを見ると胸が痛む) 元気だったかい(震える声)
・・・チュンサン。 |
チュンサン | 僕は大丈夫ですよ。サンヒョクから、話は聞きました。
本当なら、僕が先に訪ねて行って挨拶するべきなのに |
ジヌ | (首を横に振って)いいや、こうして会えたんだから、
そんな事はどうでもいい。
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チュンサン | いつも、心の中で会いたいと思っていました。
でも僕が現れたら、辛い思いをされるんじゃないかと思って
|
ジヌ | お前が私に会いたいと思っていたように、私もお前の事、
いつも考えていたよ。
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チュンサン | (涙が浮かぶ)
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ジヌ | お前に、父親として何もしてやれなくて、お前がここを
去ってから、私もどれだけ辛かったことか。
お前は私の息子だ。今からでも、私がお前に父親として
できることは、何でもしてやりたい。
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チュンサン | (涙が流れて)お父さん・・・
|
ジヌ | (テーブルの上のチュンサンの手を握り、涙があふれる)
|
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26. ポラリスの前(夜) |
ユジンが帰宅しようと出てくると、サンヒョクがユジンの事務室の
前で待っている。
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ユジン | (ビックリして)何よ、中に入ってきたらいいじゃない。
ずい分待ってたの?
|
サンヒョク | いや、今来たところだよ。
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ユジン | (うなずいて)そう。
|
サンヒョク | 乗れよ。家まで送ってやるから。
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27. ユジンの家(居間) |
ソファーにサンヒョクが座って、ユジンはサンヒョクにコーヒーを入れてあげてから、隣りに座る。 |
ユジン | (心配そうに)サンヒョク、疲れて見えるけど。
|
サンヒョク | (コーヒーを一口飲んで)今日、父さんがチュンサン
に会うって言ってたんだ・・・
チュンサンが俺の兄さんだって事・・・そうだな・・・
悪くはないんだけど・・・よく分かんないよ。
俺、チュンサンに会って、兄さんだってこと認めて
心は軽くなったけど・・・何ていうのか・・・
|
ユジン | サンヒョク・・・
|
サンヒョク | 母さん・・・母さんが気になるからかな?
|
ユジン | サンヒョクのお母さん?
|
サンヒョク | 母さんは、まだ父さんとチュンサンのこと、認めて
はいないんだ。
|
ユジン | サンヒョクのお母さんも、いつか理解してくれる
はずよ・・・ |
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28. サンヒョクの家(夜) |
居間で、チュンサンのことをジヨンに話しているジヌ。ジヨンは、反対側に座って腕組みをしている。 |
ジヨン | (大きな声で)何ですって?チュンサン? |
ジヌ | チュンサンがもうすぐ、ユジンと結婚するっていうんだ。
私があの子の父親なんだから・・・ |
ジヨン | (あきれたという表情で)誰があなたの息子ですって? |
ジヌ | ・・・ |
ジヨン | 私には、子供はサンヒョクしかいません。ですから、
あなたの息子が結婚するって他の人達に知らせるなんて、
私は嫌ですからね。 |
ジヌとジヨンが言い争っている時に、サンヒョクが帰ってくる。サンヒョクもつらそうに。 |
サンヒョク | ただいま。 |
ジヌ | (青白い顔)ああ、お帰り。 |
ジヨン | (ジヌに)あなたの話、聞かなかったことにしますから。 |
サンヒョク | (興奮した声で)母さん・・・僕もチュンサンに
会ったんだ・・・母さんも、もう父さんのこと、
理解してあげてよ・・・
(震える声で)チュンサンは、僕の兄さんなんだから・・・ |
ジヌ | サンヒョク・・・ |
ジヨン | お前まで・・・母さんに何てことを・・・
(傷ついた気持ちを抑えて)それじゃ、私に隠れてあなたも
サンヒョクも・・・今までチュンサンに会ってたのね? |
ジヌ | 私もチュンサンが韓国に戻ってくるとは思ってなかったんだ。
でも・・・あの子は私の子なんだ・・・それに、あの子は今、
健康な体でもないし・・・ |
ジヨン | (とても傷ついて)そうなの?
あなたの初恋の結果を認めたくないのに、仕方なく認めなくちゃ
ならない私の気持ち、少しでも考えてくれたの?
あなたは謝っているけど、許せない私の気持ちはどうしたらいいの?
あなたを信じて暮らしてきた歳月が悔やまれてならないのに・・・
(涙が流れて)私も、今まで努力して来たのに・・・あなたは・・・
あなたの立場ばかりを強要しているじゃないの! |
ジヌ | (申し訳なくて、言葉をなくす) |
サンヒョク | (苦々しい思いで)母さん・・・ |
|
29. チュンサンのホテルの部屋(夜) |
チュンサンがアメリカのミヒと電話している。 |
チュンサン | ・・・もしもし、お母さん・・・ |
ミヒ(声) | チュンサン、元気なの?
|
チュンサン | ええ・・・お母さん、僕、ユジンと結婚します。
それで、お母さんに知らせようと思って・・・ |
ミヒ(声) | ・・・
|
チュンサン | お母さん、聞いてるの?
|
ミヒ(声) | ええ・・・チュンサン・・・おめでとう。
|
チュンサン | できれば、結婚式に来て欲しいと思って・・・
|
ミヒ(声) | ・・・この頃は公演スケジュールが詰まっていて、
行けるかどうかわからないわ。
|
チュンサン | 必ず来てください。お母さんにお祝いしてもらって、
結婚したいんです。
|
ミヒ(声) | ・・・そう・・・スケジュールを調整してみるわ。
|
チュンサン | ありがとう、お母さん。
|
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30. ホテルの部屋(朝) |
キム次長とチュンサン、カバンを持っている。 |
キム次長 | (カバンを両手に持って)ミニョンさん。
島に行ったら、もうソウルには来ないんですか? |
チュンサン | (笑顔)多分、しばらくは来れないと思いますよ
|
ホテルの部屋に入ってくるサンヒョク。 |
キム次長 | (サンヒョクを見て)あ、サンヒョク君。
|
サンヒョク | (キム次長に軽く礼をして、チュンサンを見て)
兄さん、今から行くの?
|
チュンサン | サンヒョク。ああ、これから出発しようと思って
|
サンヒョク | ユジンには連絡したのかい?
|
チュンサン | うん。(笑顔)君も、遊びに来いよ。
|
サンヒョク | 新郎新婦のアツアツした新婚生活ぶりを見に、
うるさい位に遊びに行かなくちゃな。構わないよね?
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チュンサン | もちろん。
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サンヒョク | 僕の車で行こうか? |
キム次長 | (間に入って)あれ? ミニョンさんの運転手は私なんだけどなぁ?
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31. ブティックの中(午前) |
チェリンが売場のディスプレイ中。扉を開いて入ってくるサンヒョク。 |
チェリン | (嬉しそうに)あら、サンヒョク。どうしたの?
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サンヒョク | (笑顔)話があってね。
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32. ブティックの事務室 |
テーブルに向かい合って、チェリンとサンヒョクが座っている。 |
チェリン | 今、忙しい時間じゃないの? ここまでわざわざ来るなんて、
どんな話?(笑顔) |
サンヒョク | ・・・チュンサンが戻ってきたんだ・・・
|
チェリン | (自分の耳を疑うように)何ですって?! チュンサン?
|
サンヒョク | ・・・もうじき、ユジンと結婚する。
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チェリン | ・・・ユジンと結婚?
|
サンヒョク | (チェリンをまっすぐ見つめて)そして、チュンサンは
俺の兄さんなんだ。父さんの息子だったんだ。
|
チェリン | (混乱して)チュンサンとあんたが・・・?
(少し考えて)・・・チュンサン、今どこにいるの?
|
サンヒョク | チュンサンは今、ソウルにはいない。チュンサンが
建てた家があって、ユジンと結婚するまで、そこにいるって。
結婚式もその家でするつもりらしい。
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チェリン | (涙が浮かんで)そういう事だったの? ・・・そうなの?
・・・二人は、本当に結ばれる運命だったっていうの?
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サンヒョク | チェリン、俺たちもチュンサンとユジンの結婚を
祝ってやろうよ。 |
チェリン | (涙が流れて)サンヒョク、悪いけど、私を一人に
してくれない?(立ち上がって、外に出る)
|
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33. ポラリス事務室 / ブティック(朝) |
ユジンに電話するチェリン。 |
ユジン | (嬉しそうに)チェリン、私もチェリンに連絡しようと
思ってたのよ。
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チェリン | まさか、結婚式が終わってから連絡しようと思って
たんじゃないでしょうね?
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ユジン | チェリン、どうして・・・
|
チェリン | サンヒョクから聞いたわ。チュンサンとの結婚、おめでとう
・・・心からお祝いするわ。
それから、あんたのウェディングドレスは私が作るって事、
わかってるでしょう?
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ユジン | ありがとう。
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チェリン | 結婚式はいつなの?
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ユジン | まだ、決まってないの・・・チュンサンのお母さんの
スケジュールもあるし・・・できるだけ早くにしようと思ってるんだけど
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チェリン | そうだったの。それじゃ、とりあえずドレスのサイズ
を測らなくちゃならないから、後でブティックに来てくれる?
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ユジン | そうする・・・また後でね。
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横で聞いてたジョンア。ユジンが電話を切ると
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ジョンア | もう、友達とは上手くいってるのね?
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ユジン | 本当は、すごく心配してたんだけど、みんな心からお祝いしてくれて
私、とっても幸せだわ。(笑顔)
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34. チュンサンとユジンの結婚式(チュンサンが建てた家、午前)-明るい雰囲気 |
チュンサンの家の前庭に結婚式場が設けられ、たくさんの客で賑わっている。
ジヌは人々と挨拶をしていて、ジヨンは少し離れた所にいる。
反対側では、ユジンの母が客に挨拶している。
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ジヌ | (客と握手して)来てくれてありがとう。
(横にいたサンヒョクに)もうすぐ式が始まるから、チュンサンと
ユジンに知らせてきなさい。
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サンヒョク | はい。(家の中へと走っていく) |
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35. 家の中(新婦の控え室) |
中ではユジンがウェディングドレスを来て座っている。チェリン、ジンスク、ジョンアが横にいる。
その他に、写真を撮る人などが数名出入している。 |
ジンスク | (ユジンを見て、喜んで)ユジン、すご〜くきれいよ。
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チェリン | おめでとう、ユジン。
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ユジン | ・・・ありがとう。
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チェリン | (すまして)当然でしょ。幸せにね。 |
ドアを開けて入ってくるサンヒョク。 |
サンヒョク | ユジン、もう時間・・・(ユジンを見て、本当に
きれいだという表情になる)
準備ができたら、みんな待ってるから。
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チェリン | (サンヒョクに)ちょっと、サンヒョク。ユジンじゃないでしょ。これからはお義姉さんって呼ばなくちゃ。
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サンヒョク | そうか。ごめん・・・お義姉さん、行きましょう。
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ユジン | (笑って、立ち上がる) |
ジョンア | (横で支えながら)緊張しないでね。 |
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36. 結婚式場 |
主礼はガガメル先生。両側には椅子が並んでいて、たくさんの人が座っている。サンヒョクの両親、ミヒ、ユジンの母が前に座っている。
チュンサンは主礼の前に立っている。ウェディングマーチが流れ・・・ユジンが一歩一歩、前に歩いてくる。 |
# - 初めてバスの中で出会った場面
#- ファーストキスの場面
#- マルシアンの事務室で初めてミニョンに会う場面
#- ユジンが「愛しています」と言う場面
#- 3年後に再会する場面
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ユジンと並んで立つチュンサン・・・先生はお祝いの挨拶をしている。 |
チュンサンの顔(クローズアップ) |
チュンサン | (声)今、愛する人と生涯を約束します。たとえ彼女
を見ることはできなくても、僕の心の中には、彼女の姿でいっぱいです。命の限り、彼女と共に過ごしたいです。
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ユジンの顔(クローズアップ) |
ユジン | (声)今、愛する人と生涯を約束します。
(チュンサンを見つめて)この人の目になってあげたいです。
この人の側にいたいんです。命の限りこの人と一緒に過ごします。 |
(時が経ち) |
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37. チュンサンの家(冬、午前) |
チュンサンが、2才の息子と庭で遊んでいる。家の中から出てくるユジン。 |
ユジン | (マフラーを持ってきて、チュンサンの首に巻いてあげ)
寒くない? 今日は初雪が降るって言ってたけど、本当に寒いわ。
(子供にもマフラーを巻いてあげて)ほら、サンジンも寒いでしょ。
ユジンが子供にマフラーを巻いていると、白い雪がチュンサンの顔
に降る。
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チュンサン | (笑顔になって)ユジン、初雪だ・・・
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ユジン | (空を見上げて)うわぁ! 本当・・・
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雪が降り、チュンサンは両腕を広げて立っている。子供も嬉しそうに走り回っている。ユジンも両腕を広げて空を見上げ雪を見つめる。
終わり |